一つ、失態を犯してしまいました
相手の戦闘機が一機、私の背後へと抜けて行ったのです
幾度となく私を狙っていたことから、基地を狙うという可能性を下げていたのが原因でしょう
加えて、追尾しようにも、私への砲撃や銃撃が苛烈さを増したため、
迂闊に飛び出したところで破壊されてしまいます
確実に、この結果を狙った動作でした
まんまとはめられた結果になりましたが、
労せず倒せる機体なので、おそらく情報収集が目的でしょう
命がけで手に入れるほど、私に関するデータは基地にはありません
従って、瑣末ごとと切り捨てておいていいでしょう
戦闘を終え、日記を読み返します
彼らは、確かに成長していました
前を向いていたと置き換えてもいいでしょう
生きることを望み、しかし死地で生きる人たちです
だからこそ、笑っているのだと、私の記録には登録されています
私には理解できないことですが、
彼らを思い出すということは、繋がっているという意識を強くしました
きっと人が生きるのは、繋がれるためなのでしょう
引いては、あらゆるものを知るために、人と一緒にあろうとするということです
彼らが他者と笑い合っていた理由が、少し分かる気がしました
それでは、本日の行動を終了いたします
Copyright(c) 2010 YOSHITOMO UYAMA all rights reserved.