9月15日

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 今日は相手の基地を一つ、機体数に換算すれば、三十機は破壊したでしょうか
 得られた情報の価値を考えても、あまり生産的ではありません

 全ての機体を、ある程度原形をとどめる形で破壊すると、
 全ての機体に人が乗っていました
 ある人は、昨日と同じように死を恐れ、天につばを吐き死にました
 ある人は、見えない親へ手を伸ばし、死にました
 ある人は、私を化け物と罵り、見知らぬ女性の名前を呟き死にました
 誰一人として、死に納得などしていませんでした
 
 以前、隊員さんの一人が言いました
 相手は私たちを殺すことに楽しみを抱いているから、死ぬことなんて平気だと
 では、死ぬことが平気な人間があのような死に方をするでしょうか
 楽しみを抱いている人間が、家族の名前を呼ぶでしょうか
 バイトさんの言った言葉
 戦争とは情報に踊らされるための舞曲というのは、間違いではないのかもしれません
 おそらく全ての諍いは、感情、あるいは信じるモノの齟齬から起こるでしょうから

 猫の話を書きます
 冬羽はふらりとどこかへ消えて、ふらりと戻ってきます
 そういうものだと登録すれば、困ることもありません
 しかしただの猫が生きていくには、この場所は辛いのではないでしょうか
 餌もなければ水もない
 彼は、これまでどのように生きてきたのでしょう
 
 幾度か本拠地を狙うことも考えましたが、
 他の基地が私たちの前線基地を狙うと対処が遅れます
 従って有効な戦術とは言い難いでしょう
 また明日も前線基地の破壊を行うことを登録して、本日の行動を終了いたします


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