これまでのルーチンワークを処理していると、
昼過ぎになって、上官から以前の分析結果に対するレスポンスをいただきました
得られたのは、単刀直入に述べるのであれば、無様な作戦でした
最前線を私に任せ、他の隊員はこの基地で後方支援に回るというものです
つまり負ける前に滅ぼす、圧倒的な力であるうちに叩き潰すということなのだということ
その判断が理解できない旨を上官に伝えると、彼は仕方のないことだと視線をそらしました
彼は、何かを知っているのでしょう
大の大人、それも男性が、臆面もなく涙を流したのですから
多くの人間が死んだ、多くの若い命が銃の下に眠っている、
皆、上官という立場を恐れるでもなく、しかし軽んじもしない、いい連中だった
そんな彼らに、私は好かれていた。その私もいなくなるだろう、と
私は彼を抱きとめました
以前何らかの本に、
女性の胸というのは男性を落ち着かせる効果があると書かれていたためです
私は機械ですが、意味はあるでしょうか
ほどなくして彼は落ち着きを取り戻すと、頭を振り、私に謝りました
そして背筋を正し、私に向って敬礼します
「無事に戦争を終えられるように」
私も彼も、無理だと分かっていながら、その時、私は頷き返しました
これが、嘘をつくという行為なのでしょう
最後に裏庭の畑について頼むと、彼は畑仕事に精を出したことがあると胸を叩いて見せました
これ以上、私が気にすることはありません
昼は私の改造に時間を費やしました
今のままではいくらか不便なところがあるので、自立行動をとることが可能なように、
電力や装備の問題を解消するための措置が取られました
全ての職員の方に見送られて、私は指定の座標へと到着しました
誰一人、何一つない荒野に、私は立っています
今後は武器が保管されているコンテナが私の部屋になります
広くなった星空を眺めながら、本日の行動を終了いたします
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