今朝は助手さんと、バイトさんの墓参りというものに行きました
彼女はあまり元気がなく、現状のデータと顔の状態から、睡眠不足と心的疲労が見受けられます
黒猫が歩み寄ってきて彼女の足に頬をすりよせると、
力ないものではあるものの、助手さんは微笑みました
別の動物でも、感情というのは読み取れるものなのでしょうか
午後は助手さんと話をしました
彼女はバイトさんと付き合いがあったらしく、結婚の約束もしたそうです
幸せな日々が続いていたのですが、ある日バイトさんは隊員としてここへ来ることになりました
助手さんは友人や近所の人から、この組織についての話を聞いていたそうです
曰く、一度入れば抜けられず、入れば死は免れない
耐えられないことだと言っていました
バイトさんには、女性は守らないといけないという考え方があったそうです
しかし助手さんは、守られるばかりは嫌だったそうです
その食い違いが、別れた理由だと彼女は言っていました
食堂はバイトさんがいないだけで、雰囲気は暗いものになったように判断できます
とある隊員さんの階級が上がったようでしたが、何一つ嬉しくないそうです
それよりは、バイトさんが生きている方が何倍もよかったと
無くして進むのは耐えられないというのが彼の言い分ですが、
いつだって人は、何かを失うことでしか進めないのも事実ではないでしょうか
隅で充電を行いながら記録の整理や推論を行っていると、ある隊員さんに鍵をもらいました
血で濡れたそれは、私に渡すように指示した紙と一緒に、
バイトさんのポケットに入っていたそうです
隊員さんが言うには、これは基地の屋上のカギだということです
夕食を終えて屋上へ向かうと、途中、助手さんに呼び止められました
彼女は明日、バイトさんの死んだところへ連れて行ってほしいと頼んだので、
私はそれを、戦闘が起こらない前提のもとで了承しました
今、私は屋上で日記をしたためています
空はどこまでも広がっており、星はどこまでも遠く、
伝承を信じるのであれば、あの輝きのどれか一つは、バイトさんということになるのでしょうか
さようならと呼びかけて、私は本日の行動を終了いたします
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