早朝出撃を終えて基地に戻ると、隊員さん三人が私を呼びとめました
これからメンテナンスなので時間はあまりないことを述べると、
これを渡すだけだから大丈夫、と彼らは私に妙なペンダントを差し出しました
手作りだと判断できる粗い出来で、銃弾に翼の生えたものです
今日、彼らは私に助けられる局面があったらしく、
その時残った銃弾を用いて、ジープの中で作ったのだそうです
だからこそお礼だということで、私はそれを受け取りました
礼を述べると彼らは、あまり女性に贈るプレゼントじゃないと苦笑していました
メンテナンスで服を脱ぐとき、助手さんは私の持ち物からペンダントを見つけました
彼女はその経緯について尋ねてきたので説明すると、
ここの隊員さんたちはみんな口下手だと苦笑しました
そして、私にははっきり言わないと伝わらないということについて同意を求められたのですが、
いくつかのパターンに置いて文章補完は可能なので断定は早計であると答えました
すると彼女は、やはり伝わっていないと私の額を弾きました
つまるところ、暗喩の類が分からないということなのでしょうか
しかしそれは人間であっても、一度は意味が分からないと認識することは不可能です
答えの分からない助手さんが教えてくれたのは、
表情とか、行為から読み取れるもののことだということです
例えば何かモノをプレゼントするのも、必要性ではなくて、
相手に何らかの好意を寄せているからだということだそうです
また、その感知能力は人間の中にも差はあるとのことでした
メンテナンスが終わり、一通りの作業をこなし、庭園で水やりを終えると、一段落します
私はぼんやりと、自らの感知能力についてデータ整理を行っていました
途中、黒猫が現われて私の膝で丸くなります
夕暮れ、私は結局結論の出ない計算を延々とし続ける羽目になりました
そもそも計算するためのデータが足りないのです
休止前、目的について演算処理を行いました
私が今行っているのは人間の分析と戦闘能力の向上です
少なくとも今、私はこの二つのために存在しているのでしょう
これらを生かすことを私の目的とすればいいのだとして、
本日の行動を終了いたします
Copyright(c) 2010 YOSHITOMO UYAMA all rights reserved.