9月4日

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 ここ数日間のデータを解析することで、一つの結論が得られました
 それは、相手の戦闘能力が徐々に上昇しているということです
 加えて危惧すべき点として、
 こちらの人たちは、私という兵器が追加され極端に戦況が有利になったことで、
 戦争に勝てるという確信を得始めていることが挙げられます
 何故なら、相手は危機感を抱くからこそ、開発を進め、強くなっている
 しかし、私たちは優越感を抱くからこそ、開発をやめ、停滞しているのですから
 この差は看過すべきものではありません
 
 加えて相手が上げようとしているのは全体の質だということも算出されています
 私のような個体で特化した機械を作り出すことが出来なければ当然の手段だと言えますが、
 それは各戦力が同じように強化されるということです
 つまり私のような個体がない場所では、すぐに圧倒されてしまう可能性があります
 万が一私が行動停止、あるいは破壊されたとき、戦争は終わるのではないでしょうか
 無論、私たちの敗北という形で
 
 夕食後にその旨をバイトさんに伝えると、彼は上官に言ってみるよ、と了承してくれました
 次に整備士さんたちにそれらの情報を伝えたのですが、
 彼らは私の装備の疲弊具合と戦場の様子からそのことを既に悟っていたらしく、
 対処方法として新兵器の開発を計画しているそうです
 彼らは常に戦場の後方で、私たちの装備を修理・回収してくれています
 適切な判断を下せるのであれば、私の結論と同じものを得るのは必然でしょう
 
 隊員さんたちにも注意するよう呼びかけたあと、廊下でバイトさんに呼び止められました
 上官は更に上へと申請すると言っていました
 戦争のために作成された特別本部があるそうです
 今は待機しなければならないことについて、私は非効率であるという判断をくだします
 そもそも、詳細な情報がなければ正確な処理はできませんし、
 事実以外のものを織り交ぜては不適切な出力がなされてしまいます

 資料や伝聞で現場を判断する人間に正しい判断が下せるでしょうか
 その点に疑問を覚え、私は本日の行動を終了いたします


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