今日の昼は助手さんと外に出ることになりました
私が助手さんに誘われるという形だったので、バイトさんに許可を申請すると、
呼び出しがあったらすぐに来るならいい、と許可してくれました
上官の許可は取っていないのですが、いいのでしょうか
車の運転は助手さんが行いました
どうやら彼女も車の運転はできるようです
市街地までたどり着くと、彼女は適当な店に入り、私を手招きしました
彼女の立つ場所は服飾店です
どうするのかを尋ねると、私の服を買うのが目的だとのことです
何故でしょうか?
私は今、戦闘という行為をしています
どこかに飾る置物として使われているわけではないので、
服を着飾ったところで意味はありません
その旨を助手さんに伝えたのですが彼女は、
いいからいいから、
と話を聞かず、私に服を渡しました
仕方無いのでそこで脱ごうとすると注意され、試着室の中で着替えます
私はロボット、機械人形なのですから、どこで外装を変えようと関係ないと思うのですが
それから私たちのしたことと言えば、着替え、だけでした
店にある服全てを着尽くそうかというほどに、何度も何度も着替えを繰り返しました
しかし買ったのは、それに比べてわずかなものです
店にある一番大きな袋に換算して五つ分。私一人でも持つことができます
彼女に量について尋ねると、
買うためだけに着るんじゃないもの、
と笑っていました
大変なのは基地に戻ってからでした
私が両手に抱えた荷物を見て、中身を聞き、バイトさんは額に手を当ててため息をつきました
そんなもん、どうするんだ、と
おそらく私に向けての発言だったのでしょう
彼はどうせ戦場に行けばそんな服はぼろぼろになるし、
浮いているにもほどがあると言っていたからです
しかし反論したのは助手さんでした
おしゃれくらいさせろ、彼女も女だ、と
私にとっては的外れな回答でしたが、
反駁するバイトさん含め、私の発言は聞こえなくなっているようでした
今私は、フレアスカートにキャミソールとブーツという格好をさせられています
すぐそばにあるベッドでは、助手さんが今日買ったものを検めています
夕方の喧嘩、私に今の服を着せたとき、そして今の状況を含め、
久しぶりに彼女の元気な姿を見ました
私にとっては服を買うという行為に意味は見出せませんが、
彼女は有意義だったのだろうと判断して、本日の行動を終了いたします
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