今日は昼食を終えると、隊員さんたちに誘われてウノをすることになりました
簡単にルールを教えてもらって、最適化を行うと、
あとは手持ちのカード次第で勝敗が決定します
いつも通り機械的に作業をこなしていると、三度目の半ば、サイレンが鳴りました
戦闘を告げる大きな音。皆が一様に、諦観に等しい笑みを浮かべ、立ち上がります
そして私の手元に残った五枚のカードを、一人一つずつ取って行きました
意図を尋ねると、
残れるように、お守り代わりにもらっとこうかなって
彼らはそう言って、
今日辺り俺らの番だしな
と笑い合いながら、部屋を出ました
戦闘が終わると事後処理になります。今回は私も参加することになりました
作業自体は難しいものではありません
破壊された兵器の残骸から使えそうなものを選別、
また、殺された人間、負傷した人間を回収するものでした
腕のない人間、足のない人間、頭が半分割れた人間など、様々な人がいました
バイトさんは彼らの名前を呼び掛け、
お疲れ、楽に死ねたか?
自慢の力瘤も腕がなけりゃ作れねえよなあ
と、まるで生きている相手であるかのように話しかけ、遺品を回収していました
後に聞いたところによると、遺族に送るためだそうです
しかし私が彼らのポケットから家族の写真などを取り出すと、
バイトさんは首を振って、戻してこい、と言いました
一人じゃさびしいからな、と
今日死んだ方々のポケットからは、ウノが出てきました
バイトさんは彼らに、
これじゃウノができねえだろうが
手元にあるのは残ったカードじゃなくて、これから捨てるカードだろ……馬鹿が
と言って、笑っていました
その後、私は生存者と一緒に、裏庭の黙祷に参加しました
バイトさんはカードを回収しなかったので、結局ウノはできないことを指摘すると、
あいつらにとってはな、お守りなんだ
と答えるだけでした
人は、よく解りません
今回の情報はデータとして保存するにとどまり、私は本日の行動を終了いたします
Copyright(c) 2010 YOSHITOMO UYAMA all rights reserved.