今日の戦闘も有利に運び、
これまでと異なり、戦況は明らかに楽になったとバイトさんに言われました
しかし私にしてみれば当たり前のことです
私は戦闘行動を主眼に置いて作られており、
もし戦闘においてその能力を発揮できないのであれば、
私は欠陥品ということになります
加えて私は成長回路とも呼べるものを実装されています
単純に言えば、自分で考えて処理を最適化、また新規の事物を登録可能だということです
これにより、相手がどれほど強くなろうと、学習を行うことで適応が可能だといえます
バイトさんはそのことについて初めて知ったらしく、
戦闘行為にしか学習は行われないのか、
と尋ねられました
別にそれだけに限るということではないのですが、
現在私は、人間の思考プロセス、戦闘の最適化のみを行っています
前者については、戦闘における相手の行動をより確実に予測することを目的としていますから、
基本的には戦闘行動の学習しか行っていないことになります
その旨を伝えると、バイトさんは安心した、と私の頭を撫でました
試作機の方は、それだけにとどまらなかったから、自壊に至ったのだそうです
私には絶対的な目的は設定されていません
私も試作機と同じように思考回路を設定されています
しかし、私はまだ、動作しています
彼女は何を考えて、何を想い、そして自壊に至ったのか
訊ねると、彼は物事には分相応というものがある、と言いました
人には人の理があり、犬には犬、冷蔵庫には冷蔵庫の理があるそうです
だから同じ理のもとで共存することはできない
それだけのこと、だそうです
では、私の理は何なのでしょうか
試作機の理とは何だったのでしょうか
わからぬまま、今日の行動を終了いたします
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