8月6日

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 検査結果ですが、射撃訓練はもう必要ないと言えるレベルでした
 動作関連も申し分がなかったようです
 しかし私はこの研究所を出ることになり、
 あまつさえ、職員の方々を悲しませることになりました
 こうすればいいと思って行ったことは、
 逆に私の出立を早め、彼らを悲しませることになったようです
 これもまた、私が機械だから起こった過ちなのでしょうか
 
 博士は私を、娘のようだったと言っていました
 しかしバイトさんは、
 あんたの娘は死んだ。戦争で殺された。あんたはそのためにこいつを作ったんだろ?
 と問いかけました。博士はすがるように私を見ましたが、
 残念ながら私と博士の血は繋がっておらず、
 娘だという問いかけに頷くことはできませんでした
 博士は、僕がそう作ったんだったね、と苦笑していました
 それだけでした
 
 出立の準備をすることになりました
 持ち物は特になく、電力さえ安全に供給されるのであれば問題もありません
 調整のため、助手さんともう一人男性の職員さんが私についてくるようです

 乗り心地の悪い車に乗せられて、私たちはまだ見ぬ外を目指します
 今日はいろいろなことがありました
 博士とはおそらくもう会うことはなく、
 おおよそ二十日間滞在した研究所に戻ることもないとのことです
 私はこれから、戦争の最前線に向かうことになります
 そこで何をするかは、到着してから指示があるとのことでした
 バイトさんは明日の朝にはつくと教えてくれたので、
 私は車内で日記をしたため、本日の行動を終了します


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