本日もまた奇特な日のようです
発端は、バイトさんが暑さに音を上げたことでした
本来であれば研究所は全館冷房が利いていて快適な温度のはずなのですが、
今日は電力供給システムが故障したために、
冷房など、研究と無関係な電力供給をカットすることになったためです
研究データを残すために予備電源を使用するという判断を下せば、
仕方のないことだと判断できます
しかしバイトさんにとっては理由は関係ないらしく、
助手さんと博士に酷く低い声で説得を試みた結果、外出許可を得ることができました
この森を山のほうへ進んでいくと、きれいな川があるそうです
目的地はそこだということでした
川にたどり着くと、博士はいつもの釣竿を取り出して、手頃な岩に腰かけて釣りを始めました
私もそれに随伴しようとしたのですが、
バイトさんが首に手をまわして引っ張ったために断念することになりました
はじめはとても驚きました
バイトさんの右には私、左には既に助手さんが捕まっており、
私たちは川に服を着たまま飛び込むことになったのです
当然服はびしょぬれになり、助手さんはとても怒ったようで、バイトさんに大声で文句を言いました
しかしバイトさんは大声で笑い、助手さんと私の首に手をまわして引き寄せました
そして、もう一度、より深い所に飛び込んだのです
その後はとても大変でした
見境のなくなった助手さんはバイトさんに石を投げつけはじめたのです
しかし石はバイトさんに当たることなく、博士に直撃して血が出ていました
さすがの彼女もそれで落ち着くと思ったのですが、
更に激昂して手がつけられなくなっていました
何故か私も助手さんに捕まり、二人でバイトさんを懲らしめるということになりました
バイトさんはとてもうまく逃げるので、私でも捕まえることはできませんでした
石を投げつければ当たるでしょうが、助手さんはそれは私がやると言って譲りませんでした
やがて博士が額から血を流して倒れていたのを発見した時、
バイトさんと助手さんが無言で、実に息のあった動作で博士を車の助手席に詰め込みました
さすがに帰ることになったようです
帰りの車で、疲れたのか、助手さんは静かに寝息を立てていました
それをバックミラーで確認したバイトさんは、やっと寝たか馬鹿が、と苦笑していました
私の視線に気づいた彼は、そいつここんとこ碌に寝てないんだよ、とだけ告げて、運転に戻りました
バイトさんは何故疲れているはずの助手さんを故意に怒らせ、
更に疲れさせるという方法で睡眠させたのでしょうか
わざわざ効率が悪い方法をとることに、意味があるのでしょうか
本日は電力消費量も多いので、私もここで行動を終了することにします
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