八月になりました
今日もまた、射撃訓練を行いました
私はこの活動に対する重みを最低レベルにしています
何故なら、射撃訓練により研究員の方々は気分を害し、
また私自身も情報収集の時間を失っています
従って、私は最大効率でこの作業を終了させることにしました
この作業をする必要がないと認知させることで、
訓練はカリキュラムから外されるでしょう
現在、課題は動く的が対象となっていますが、
私に搭載された機能を駆使すれば難しいものではありませんでした
今後も難度は上がるのでしょうが、おそらく問題はないでしょう
最短で訓練は終了しましょう
夕方、太陽が沈み空が茜色に染まるのを屋上で見ていました
するとバイトさんが現れ、二人で向かい合って話をすることになりました
彼が求める話とは、私の外界に対する認識でした
例えば、私は研究員の方々の気分を害さないように動くよう判断し、
表情に出ている場合には悪感情を認識できます
後者の精度は最近の学習成果により向上しています
しかし、全てはプログラムとして組み込まれており、
自己成長回路を有しているためだと説明しました
その回路は根幹のプログラムを否定するような判断はくだしません
その旨を説明すると、
やっぱりお前の造られた目的は、俺たちの指示した通りなんだな、
と言われました
彼らの指示とは何か問いかけましたが、やはり答えてもらえませんでした
代わりに、ノイマンはどう思うかね、と呟いていました
これまでを振り返れば、博士も、助手さんも、バイトさんも、
皆、私が何かを知ろうとすると、一部を与え、核心を告げません
何故彼らは私から真実を隠すのでしょうか
人の心理は理解できないものだと一時判断をくだし、本日の行動を終了いたします
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