本日、私にルーチンワークが増えました
朝と、昼の一時間、射撃訓練をするそうです
拳銃はベレッタを使用し、円を円で囲っている的の、中心の円を撃ち抜くものです
研究所の地下にこういった施設があることは知りませんでした
少なくとも、私が熱源を感知していた時は、ここは使用されていませんでした
つまり、ここは私が、あるいは試作型が使用するための場所ではないでしょうか
訓練を視察するのは研究所の人です
今日は博士と助手さんを含めて四名の方に指導、あるいは動作チェックをしてもらいましたが、
やはり皆さんの顔はすぐれないようでした
可能性として私の出力が万全のものでないということが挙げられたので、
ほぼ完全に中心へと的中させましたが、結果が変わることはありませんでした
誰一人として、喜ぶことはない
研究者として、自らの制作したものが最善の結果を出す、
その事実を悲しむ理由については、私のデータでは解析できません
結局、私にできるのは、最善の出力結果を残すことのみでした
夜になり、バイトさんと屋上で話をしました
彼だけは、他の研究員の方たちと何かが違うと判断できたからです
外から来たこと、軍服の方々への接し方が異なっていることが原因です
その旨を告げ、加えて研究員の方々の反応について問うと、彼は笑って、
時間ってのはとても優しいものだけどな、ああいう奴らにとってはとても残酷になるんだ
そう、言いました
処理を行ったところ、私には時間という概念はほとんど存在しないと言っていいでしょう
電力を供給するものさえあれば、半永久的に動くことが可能です
そういったように製作され、テストをクリアしているのが私だからです
永遠の命という、小説などの創作物でよく語られるもの
それを持ち得ているからこそ、私には誰かを理解できないのではないか
差異というのは、どんな小さなものでも、大きな意味を持つと、以前博士に聞きました
私の役目は解りません
現在は人を分析することで多くを知ろうとしていますが、その意義は不明です
では、本日の行動を終了いたします
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