今朝は朝食を作成していました。内容はトーストで、滞りなく作成できました。私は食べられないので博士に言うと、今日からバイトの方が来るので、その人が食べてくれると言っていました。今日は博士が食べてくれました。
そのあと、バイトの人について聞きました。なんでも、私はまだ知能が未熟なので、誰かが話し相手になる必要があるということだそうです。その人は助手の方の友人だそうです。
昼になって、昼食を作り終えるとその方は部屋にやってきました。髪の白い方で、整ったいでたちでした。部屋の中なのに帽子をしていました。眼鏡を押し上げると、その人はまず、私が作った昼食、クロワッサンにスクランブルエッグとソーセージという簡素なものを食べ始めました。なんでも、朝から何も食べていなかったとのことです。人間は一日三食食べるはずなので、その旨を訊ねてみると、彼は朝食を食べない人間なのだと言いました。そういう人もいるそうです。
それから彼は私の隣の部屋に住むことになったと言っていました。朝私の部屋を訪れ、夜になると帰るそうです。そして彼の仕事は私と話すことだと言いました。そこで私は生れてはじめて、握手というものをしました。
今日は手続きが多いそうなので、彼は博士に連れられてどこかへ行きました。
そのあと助手が現われて、彼のことを阿呆で自分勝手だと告げました。だから私に注意するように、とのことだそうですが、具体的な方針が分からないので、どうすることもできません。
そう応えると、彼女は額に手を当てて、困ってしまったようです。一応、近寄ってきたら叩け、と言われたのでそうすることにします。
夜に夕食を作ると、部屋のベルが鳴りました。どうやら彼が挨拶に来たようです。ですがドアが開いたら距離はおおよそ三十センチ。その距離で一歩踏み入れたので、私は彼を平手ではたきました。機械である私は力が強いらしく、彼はその場に倒れてしまいました。ほほを押さえながら驚く彼に尋ねられて、私が昼にあったことを言うと、彼は口を尖らせて、あの女、と呟きました。
それからどうするのかを訊ねると、彼は食事だけ持って自分の部屋に帰りました。食べる前なのにごちそうさま、と言っていました。今日の夕食は、白身魚のソテーとガーリックパンでした。
今日はもうすることはないので、行動を停止します。
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